西浦村は、「騒擾事件調査票」に記載された検事処分者はいません。
西浦村では、以下の新聞記事にあるように、①日稼人力車夫等、約200名の集団が村当局に白米の廉売を迫った騒動と②三田尻の左官職が西浦信用組合長に白米の廉売強要等をした事件がありました。①を街頭の騒動として、米騒動発生地としました。
①《關門日日新聞大正7年8月22日》「●廉賣を迫る 西浦村民當局に」。
「佐波郡西浦村にては十九日午後十時前頃約二百名の集團蜂起して村當局に對し他町にては既に白米二十五銭の廉賣を實行せるに獨り當村のみ未だ實行せられざるは如何ん速かにこれを實行せられたし然らざれば吾々は唯今より富豪及び米商に迫り直接談判する所あるべしと肉薄せしかば當局者は大いに周章し斯くと三田尻署に急報したれば直ちに同署よりも幹部出張して當局と協議し廿日より何分の處置を執るべしと慰撫して解散を命じたれば事なきを得たるが首謀者は主として日稼人力車夫等なり」。
②『關門日日新聞』大正7年8月30日。「●米騒動犯人 西瓜強奪と〇〇〇〇」。要約。
佐波郡三田尻左官職〇〇〇〇〇(42)は、西浦村内で、20日午後10時頃米騒動を種に西浦村信用組合長に米の廉売強要、30分後、諸商女性方で商品廉売強要・〇〇〇〇・麻裏一足窃取、11時頃諸商方で西瓜・金四圓四十銭強奪、30分後、在米調査と称し種々脅迫。
②『馬關毎日新聞』大正7年11月14日。「米騒動の脅迫放火事件裁判二つ」。要約。
11月12日午後1時開廷。8月20日午後10時ころ、西浦信用組合長に対し、防府町では白米1升25銭で販売しているので安く売れと脅迫、又同夜4円40銭を奪った第2回公判。検事は控訴棄却、弁護士は無罪論を主張。16日判決。
②『防長新聞』大正7年11月14日。「●裁判便り◇恐喝」。要約。
西浦村の脅迫恐喝事件。12日午後三浦裁判長篠原塚田両判事陪審片尾検事立会で開廷。事実の審問、証人取調べがあり、証人は被告に有利な証言をし、片尾検事は控訴棄却を至当と論告し、弘中弁護人は無罪論を主張して結審。判決言渡しは来る16日。